作為の無い作品3 ほんとうの日本人のこころ |
さて昨日の続きです。自身のデザイン事務所設立から10年の努力が水泡と帰したところからです。当初は肉親の急場を救うという、義侠心からでた行為でしたが、大げさにいえば、その行為によって組織が崩壊したわけです。資本(出資金)がものを言う同族会社の経営と違い、唯一の経営資源は無形のデザイン力という会社の環境では、肉親とはいえ、能力の無い物を入れる事は、それだけで致命的な判断ミスという事実に気がつくべきでしたが後の祭りでした。
ついに、10年前とまったく同様に、たった1人で再スタートをするしかない様になりました。こころにポカンと穴があいたという表現がありますが、まさにそんな状態でした。しばしの呆然としていた時を経、ようやく私は2つの決心をしました。
1つは、「今回の事は、総て自分自身が原因で起きたので、いろいろな点で未熟な自分を変えるしかない」という事、2つ目は「10年前と違っている点は、クライアント(デザイン発注元)はまだ私のデザインを必要としているので、この人達の期待は裏切れない」でした。
そして1番目の決心への答えとしてヨガをはじめました。この時自分ではどうする事も出来ない事への対処として、ただ神だのみ的なことではなく、自助努力というか自力本願というか、自分を高めていける方法という淡い期待はありました。
写真上: 良寛書 いろは、一 二 三 出典 とんぼの本 良寛さん
写真下: 雪の国上寺(こくじょうじ)五合庵のある良寛ゆかりの寺
今から考えても不思議な感じがしますが、このヨガは本当に私を救ってくれました。
朝7時に会社に行く前に、道場で1時間〜2時間のハタヨガ(体操的要素のつよい基本的
なヨガ)の練習をして、その後バイクで事務所に出勤するというパターンを3年間1日の休みもなく続けました。とにかく練習の後は、まさに壮快で、気持ちが晴れわたり、いつしかヨガは、私の日常生活のプライオリティNo1になっていきました。
デザイン事務所の運営のほうも、有り難い事にクライアントは1社も離れず、新たに雇ったアシスタント1人でなんとか、仕事も順調に回りはじめました。
そしてしばらくすると、一度は事務所のスタッフを食べさせる為、諦めていた自動車のデザインの初めての受注があり、自分でも驚いている所、さらに海外のメーカー2社からの契約を取る事にも成功しました。
このころから,信仰心というものが無いに近い私でしたが、何んだか解らないなりに、自分の力では無い、何か大きな力が、働いている事を少しづつ感じるように成りはじめました。続く