今、あらためてminimalistについて思う。 |
さて、今日は英国人のミニマリストの建築家ジョーン・ポーソンを取り上げます。
今や、世界の各地でミニマリストの建築家として引っ張りダコの彼も、若い時には”自分を探す旅”を日本に定め、あの倉俣史郎と会い、自分の一生の目標が決まったという逸話の持ち主です。
「そのころは自分が建築家になるとは、全く思っていなかった」と言っているほど、職業としての建築家には夢を持っていなかったようです。
この作品は彼が1994-5年に、英国のエセックス州の郊外のtilty hillにある18世紀のオランダの納屋をドラスティックにリモデルし、21世紀のリゾート用賃貸住宅に仕立て直した建物。ミニマリストの傑作と評価されているものです。
平屋建ての家は馬のエンクロージャとして使用される大きな中庭を包み込み,インテリアは、周辺の田園地帯のように静かです。
添付したvideoを見ていただければ解るように、田舎の週末住宅としてはなかなか魅力的で、フーンと感心する所が多いのですが、ミニマリストのインテリアや建築で、私が一番気にいらない点は、その見かけ上のシンプルさを強調するために、ほとんどの生活関連用品を、目に入らない所に隠す(良く言えば整理する)という点です。
この目的のためにはstorage(収納)用で、表からは見えない棚を備えた厚みのある壁状のパーティションを設けなくてはならなくなり、しかも裏側には人間が動作をする空間も必要となってきます。
以前より、海外の住空間は、我が国のモノよりかなり広くて、こういうレイアウトをしても問題は少ないにせよ、あまり合理的な空間処理とは思えません。
このインテリアでもキッチンやリビングの本棚はオープンシェルフで、使い勝手を考慮しているところもありますが、どうも”見え”を優先するために、前もって意図したものの”いやらしさ”がぬぐえない。
このあたりになりますと、かなり専門的な領域になりますが、受け取り側が一般の人でも、この”いやらしさ”を感じとれる人はいると思います。
全ての”芸”の世界では、創作者の意図を感じさせなくなる程、高度で洗練されてくるということ。その点ではミニマリストの仕事はその”見え”のシンプルさ程には洗練されていないという、皮肉な結論になるのではと、私は思っています。??